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名古屋市の不動産売却で譲渡所得はどうなる?特例制度や控除の活用方法も紹介

村松 幸一

筆者 村松 幸一

不動産キャリア17年

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こんにちは、えんつう不動産の村松です。

不動産を相続し、その売却を検討されている方の多くは「譲渡所得」に関する税金や、名古屋市ならではの特例について迷いや不安を感じていませんか。相続不動産の売却では、通常の売却とは異なる特例が使える場合がありますが、内容や手続きが複雑なため、知らないと損をすることも多いのが現実です。本記事では、名古屋市で相続不動産を売却した際に活用できる代表的な譲渡所得の特例や控除制度、その具体的なポイントを分かりやすく解説します。

譲渡所得税の基本と名古屋市での適用

譲渡所得税とは、不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対して課される税金で、所得税および住民税が合計で課税されます。譲渡所得は「譲渡価格」から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いて算出します。取得費とは購入時の価格や仲介手数料・印紙税などで、譲渡費用とは売却時に要した費用、例えば仲介手数料や測量費などを指します。譲渡所得額=売却価格−(取得費+譲渡費用)で計算されます。

不動産の所有期間によって税率が異なります。売却した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」と分類されます。短期譲渡所得の方が税率が高く、長期譲渡所得は軽減された税率が適用され、節税につながります。

譲渡所得の計算方法は次のとおりです。
譲渡所得=売却価格−取得費−譲渡費用。
この式により、譲渡所得額が求まり、その金額に基づいて課税されます。

名古屋市独自の制度として、都市計画区域内にある「低未利用土地等」を売却した場合に、長期譲渡所得から最大100万円を控除できる制度があります。要件には、所有期間が5年を超えていること、売却額が500万円以下であること、都市計画区域内の低未利用土地等であることなどが含まれます。申請には「低未利用土地等確認書」の交付が必要です。

以下に、所有期間による税率区分と低未利用土地等特例の要点をまとめた表を示します。

項目短期譲渡所得(5年以下)長期譲渡所得(5年超)
税率の傾向高い税率が適用される軽減された税率が適用される
名古屋市の特例該当なし低未利用土地等の場合、最大100万円を控除可(確認書が必要)
確認書の提出不要「低未利用土地等確認書」の交付が必要

相続不動産売却で使える主要な特例制度

相続した不動産を売却する際、譲渡所得の負担を軽減するための代表的な特例制度を3つご紹介します。

特例制度名 概要 主な適用条件
相続税の取得費加算の特例 納付済みの相続税の一部を取得費に加算し、譲渡所得を圧縮します。 相続税を納付しており、相続開始から3年10ヶ月以内に売却する必要があります。
被相続人の居住用家屋に係る特別控除 相続した居住用の家屋と敷地を売却する際、譲渡所得から最大3千万円(相続人3名以上で2千万円)を控除できます。 相続開始から3年以内に売却し、昭和56年5月31日以前に建築された家屋などの要件があります。
その他の譲渡所得軽減特例 概算取得費の利用や居住用財産の3,000万円特別控除など、他にも制度があります。 制度ごとに異なる要件がありますので、併用の可否などに注意が必要です。

以下、それぞれの制度について、詳しくご説明します。

まず「相続税の取得費加算の特例」は、相続税を支払った相続人が、相続開始から3年10か月以内にその財産を譲渡した場合に、相続税の一部を取得費に上乗せできます。取得費が増えることで譲渡所得が減り、結果として税負担が軽くなります(計算方法など、詳しい要件や仕組みについては、信頼性の高い税務情報で確認されてください)。

次に「被相続人の居住用家屋に係る譲渡所得の特別控除」は、被相続人が居住していた建物とその敷地を、相続後3年以内に売却する場合、相続人1人につき最大3千万円を譲渡所得から控除できます(相続人3名以上の場合は1人につき最大2千万円)。名古屋市内では、対象物件について事前に「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受け、確定申告書に必要書類とともに添付する必要があります。

最後にその他の特例として、概算取得費の特例(取得費が不明な場合、譲渡価格の5%を取得費相当として認められる)、居住用財産の3,000万円特別控除、居住用の買い換え特例などがあります。それぞれ適用条件や申告手続きが異なりますので、併用の可否も含めて慎重に判断することが大切です。

名古屋市特有の譲渡所得特例や控除制度

名古屋市では、不動産売却に際し、全国共通の制度に加えて市独自の特例や手続きが存在します。これらを適切に理解し活用することが、税負担の軽減につながります。

まず、「低未利用土地等の譲渡に係る特例措置」では、都市計画区域内にある利用が著しく低い土地を売却した際、一定の要件を満たすことで、長期譲渡所得から最大100万円の控除を受けることができます。売却後に買主が土地を適切に利用する計画があることや、市が発行する「確認書」が必要です。提出後、市から「低未利用土地等確認書」が交付され、確定申告時に控除が可能です。書類は名古屋市のまちづくり企画課に提出し、交付までにはおおよそ2週間かかります。ですから早めの準備が重要です。

次に、居住用財産の譲渡に関する「三千万円の特別控除」の名古屋市における適用についてです。被相続人が居住していた住宅およびその敷地を相続人が相続開始から3年以内に売却する場合、譲渡所得から一人あたり最大三千万円が控除されます。適用には市が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」が必要で、そのうえで税務署にて確定申告を行う必要があります。売却価格が一億円以下であることなどの要件にも注意が必要です。

これらの特例制度を活用する際の手続きやタイミングのポイントを整理した表を以下に示します。

特例名 概要 手続き・ポイント
低未利用土地等の100万円控除 都市計画区域内の低未利用土地を売却した際、要件を満たすと100万円控除 まちづくり企画課で確認書を取得し、確定申告時に控除申請。交付まで2週間ほど要する
居住用財産の3千万円特別控除 相続した居住用家屋・敷地を相続開始から3年以内に売却した場合、最大3千万円控除 市の確認書取得後、税務署で確定申告。売却価格制限等要件あり

特例を受けるには、確認書の申請と受領が前提となります。書類不備や確認の遅れにより、控除が受けられない可能性もあるため、余裕をもって準備を進めましょう。特に年明けの確定申告時期には申請が集中するため、早めの動きが安心です。また、制度の適用可否は個々の事情によって異なりますので、専門家への相談をおすすめします。

適用可能な制度の選択と手続きの流れ

相続不動産の譲渡で活用できる特例には「取得費加算の特例」や「居住用財産の特別控除(空き家特例含む)」などがありますが、これらを併用できるかどうかには注意が必要です。たとえば、取得費加算の特例と空き家の3000万円特別控除は、両方とも適用条件を満たしていても、どちらか一方のみ選択して適用しなければならないルールとなっています。どちらを選ぶかは、譲渡する不動産の状況や税負担のシミュレーションに基づいて判断する必要があります(複数制度の選択注意点)。

制度名併用の可否選び方のポイント
取得費加算の特例他の控除と併用不可の場合あり取得費に相続税を加算し譲渡所得を減らす
3,000万円特別控除(居住用)他の特例と併用できない譲渡所得そのものから大きく控除
空き家特例他の特例と併用できない3,000万円控除とどちらが有利か検討

確定申告で必要となる書類や計算のポイントとしては、まず「譲渡所得の内訳書」は必須です。加えて、取得費加算の特例を利用する場合には「相続税の取得費に加算される相続税の計算明細書」、売却した不動産の取得原価や譲渡費用が確認できる「売買契約書」「領収書」、さらには「登記簿謄本」なども準備が必要となります。また、確定申告の提出は売却翌年の2月16日から3月15日までに行う必要があるため、余裕をもって書類を揃えることが重要です。

売却を検討する時期と専門家への相談のタイミングについて整理すると、まず相続から売却までの期間が「相続または相続税申告の翌日から3年10か月以内」であることが、取得費加算の特例適用の要件となっています。同様に、居住用財産の特別控除には「被相続人の居住用だった財産であること」など様々な条件があります。売却の時期が近づいた段階で税理士や司法書士など専門資格を有する者に相談し、売却スケジュールや特例の適用可能性を早い段階で確認することが、トラブル防止にも繋がり安心です。

まとめ

名古屋市で相続不動産を売却する際には、譲渡所得税の基本から特例制度まで幅広い知識が求められます。本記事では、所有期間による税率や譲渡所得の計算方法、相続税の取得費加算の特例や居住用財産の特例といった制度、さらに名古屋市独自の控除制度までご紹介しました。これらの特例制度は、適用できる条件や申請時期、必要な手続きが異なりますので、事前にしっかりと確認することが大切です。複数の特例を活用することで、納税負担を大きく軽減できる場合もありますが、申告漏れや手続きのミスを防ぐためにも、早めに専門家へ相談することをおすすめします。ご自身の状況に合った最善の選択が、安心して不動産を売却できる第一歩となります。

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このブログの担当者 村松 幸一

◇ 業界歴17年

◇ 保有資格:宅地建物取引士 / FP2級 / 競売不動産取扱主任者 / 任意売却取扱主任者 / 住宅ローンアドバイザー

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